
競馬のレースを見ていると、「クラシックレース」や「クラシックホース」といった表現を見かけることがあります。
「クラシック」という英単語自体は知っていても、それを競馬に当てはめるとどのような意味になるのかピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、競馬における「クラシック」に関して解説します。
併せて、クラシックレースに出走するための条件や歴代のクラシック勝ち馬一覧なども紹介するので、競馬に詳しくなりたい方はぜひ参考にしてください。
競馬のクラシックレースとは?
中央競馬(JRA)のクラシックレースとは、桜花賞、皐月賞、優駿牝馬(オークス)、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞の5つのレースの総称です。
クラシックレースはイギリスのクラシック三冠戦を範として誕生したもので、いずれも3歳馬のみが出走できるレースです。
クラシックレースで勝利した馬は、クラシックホースと呼ばれます。
「三冠レース」との関連性
クラシックレースを語るときには、「三冠レース」を避けてとおることはできません。
三冠レースは牡馬と牝馬にそれぞれ設定されており、牡馬三冠・牝馬三冠の対象レースは以下のとおりです。
牡馬三冠レース | 牝馬三冠レース |
皐月賞 東京優駿(ダービー) 菊花賞 | 桜花賞 優駿牝馬(オークス) 秋華賞 |
上の表からもわかるように、牡馬三冠と牝馬三冠レースのほとんどが、クラシックレースとなっています。
唯一の例外が、牝馬三冠レースの「秋華賞」です。
ただし、最近ではこのあたりの区分も曖昧になってきており、「クラシックレース」というときに秋華賞を含める場合もあります。
牡馬・牝馬それぞれの三冠レースとクラシックレースの関係性を、把握しておきましょう。
各クラシックレース(秋華賞を含む)の距離
クラシックレースはそれぞれ距離が異なるので、いずれかの距離に適性があり能力もある馬であれば、クラシックレースを勝てる可能性があります。
各クラシックレースの距離を、以下に表でまとめました。
なお、今回は便宜上、秋華賞も「クラシックレースのひとつ」として紹介している点にご留意ください。
レース | 距離 |
皐月賞 | 2,000m |
東京優駿(ダービー) | 2,400m |
菊花賞 | 3,000m |
桜花賞 | 1,600m |
優駿牝馬(オークス) | 2,400m |
秋華賞 | 2,000m |
牝馬で三冠レースのすべてを制しようと思う場合、最大で800m差のあるレースをいずれも勝利しなければなりませんし、牡馬の場合の距離差は1,000mにもなります。
クラシックレースをいずれも勝利して三冠の栄誉を得るのは、とても困難であることがおわかりいただけるでしょう。


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競馬のクラシックレースに出走するための条件

クラシックレースを勝利するためには、まずはクラシックレースの出走にこぎつけなければなりませんが、すべての競走馬がクラシックレースに出走できるわけではありません。
競馬のクラシックレースに出走するための条件について、紹介します。
全3回のクラシック登録もしくは追加登録を行う
クラシックレースに出走するためには、全3回のクラシック登録を行う必要があります。
2025年度の場合、第1回目の登録締め切りは2024年10月25日の正午、第2回目の登録締め切りは2025年1月24日の正午で、登録に必要な費用はそれぞれ1万円、3万円でした。
そして、最終となる第3回目の登録締め切りは各クラシックレースの2週間前の日曜を基本として、登録に必要な費用は36万円ですが、最終締め切りのタイミングのみイレギュラーな対応が許されています。
それは、「第1回目と第2回目の登録を行っていなくても、最終締め切りのタイミングで追加登録という形で200万円を支払えば、クラシックレースに出走することができる」ことです。
追加登録制度が制定されるきっかけになったのは、第二次競馬ブームの立役者でもある「オグリキャップ」です。
オグリキャップは地方競馬で連戦連勝を重ねて、鳴り物入りで中央競馬に移籍してきましたが、もともと地方競馬所属だったため、当然クラシック登録は行っていません。
そのため、実力は確かで多くのファンにクラシックレースへの出走を望まれながらも、皐月賞やダービーへの出走が叶わなかった経緯がありました。
今後オグリキャップのようなケースをなくすために生まれたのが、「追加登録制度」というわけです。
実際に追加登録制度を利用した馬から、テイエムオペラオーやキタサンブラックなどのクラシックホースが誕生しています。

トライアルレースで出走条件を満たす
各クラシックレースには「トライアルレース」が設けられており、トライアルレースで決められた着順を上回った馬は、対象のクラシックレースへの優先出走権を得られます。
各クラシックレースのトライアルレースおよび、優先出走権を獲得できる着順を以下に表でまとめました。
クラシックレース | トライアルレース | 優先出走権を獲得可能な着順 |
桜花賞 | チューリップ賞 | 3着以内 |
フィリーズレビュー | 3着以内 | |
アネモネS | 2着以内 | |
皐月賞 | 弥生賞 | 3着以内 |
スプリングS | 3着以内 | |
若葉S | 2着以内 | |
優駿牝馬(オークス) | 桜花賞 | 5着以内 |
フローラS | 2着以内 | |
スイートピーS | 1着 | |
東京優駿(ダービー) | 皐月賞 | 5着以内 |
青葉賞 | 2着以内 | |
プリンシパルS | 1着 | |
秋華賞 | 紫苑S | 3着以内 |
ローズS | 3着以内 | |
菊花賞 | セントライト記念 | 3着以内 |
神戸新聞杯 | 3着以内 |
たとえば桜花賞の場合は、チューリップ賞・フィリーズレビュー・アネモネSの3つのトライアルレースの結果によって、8枠分の優先出走枠が埋まることになります。

レースに出て賞金を稼ぐ
トライアルレースで確定される出走馬以外は、クラシックレースへの出走を表明した馬の中から、レースで獲得した賞金が多い馬が優先的に出走することができます。
そのため、重賞を勝って賞金に余裕があるような馬は、トライアルレースに出走することなくともクラシックレースへの出走が可能です。
最近では早めの時期に実施される重賞で賞金を稼いで、賞金面でのクラシックレース出走をほぼ確実にした後に、クラシックレースに向けてトレーニングを重ねる馬も多いです。
2000年代以降の競馬での歴代クラシック勝ち馬一覧

クラシックレースは毎年開催されるものなので、年ごとにクラシックホースが生まれます。
すべて紹介すると頭数が多くなりすぎるので、ここでは2000年代以降でクラシックレースを勝利してクラシックホースとなった馬を、紹介します。
競馬にそこまで詳しくない方でも、名前を耳にしたことがある馬がいるのではないでしょうか。
なお、ここでも便宜上、秋華賞をクラシックレースのひとつとして扱っている点にはご了承ください。
また、2025年はまだクラシックレースがすべて終わっていないため、9/25時点で確定している馬のみの記載です。
牡馬クラシックホース
開催年 | 皐月賞 | 東京優駿(日本ダービー) | 菊花賞 |
2000年 | エアシャカール | アグネスフライト | エアシャカール |
2001年 | アグネスタキオン | ジャングルポケット | マンハッタンカフェ |
2002年 | ノーリーズン | タニノギムレット | ヒシミラクル |
2003年 | ネオユニヴァース | ネオユニヴァース | ザッツザプレンティ |
2004年 | ダイワメジャー | キングカメハメハ | デルタブルース |
2005年 | ディープインパクト | ディープインパクト | ディープインパクト |
2006年 | メイショウサムソン | メイショウサムソン | ソングオブウインド |
2007年 | ヴィクトリー | ウオッカ | アサクサキングス |
2008年 | キャプテントゥーレ | ディープスカイ | オウケンブルースリ |
2009年 | アンライバルド | ロジユニヴァース | スリーロールス |
2010年 | ヴィクトワールピサ | エイシンフラッシュ | ビッグウィーク |
2011年 | オルフェーヴル | オルフェーヴル | オルフェーヴル |
2012年 | ゴールドシップ | ディープブリランテ | ゴールドシップ |
2013年 | ロゴタイプ | キズナ | エピファネイア |
2014年 | イスラボニータ | ワンアンドオンリー | トーホウジャッカル |
2015年 | ドゥラメンテ | ドゥラメンテ | キタサンブラック |
2016年 | ディーマジェスティ | マカヒキ | サトノダイヤモンド |
2017年 | アルアイン | レイデオロ | キセキ |
2018年 | エポカドーロ | ワグネリアン | フィエールマン |
2019年 | サートゥルナーリア | ロジャーバローズ | ワールドプレミア |
2020年 | コントレイル | コントレイル | コントレイル |
2021年 | エフフォーリア | シャフリヤール | タイトルホルダー |
2022年 | ジオグリフ | ドウデュース | アスクビクターモア |
2023年 | ソールオリエンス | タスティエーラ | ドウレッツァ |
2024年 | ジャスティンミラノ | ダノンデサイル | アーバンシック |
2025年 | ミュージアムマイル | クロワデュノール |
牝馬クラシックホース
開催年 | 桜花賞 | 優駿牝馬(オークス) | 秋華賞 |
2000年 | チアズグレイス | シルクプリマドンナ | ティコティコタック |
2001年 | テイエムオーシャン | レディパステル | テイエムオーシャン |
2002年 | アローキャリー | スマイルトゥモロー | ファインモーション |
2003年 | スティルインラブ | スティルインラブ | スティルインラブ |
2004年 | ダンスインザムード | ダイワエルシエーロ | スイープトウショウ |
2005年 | ラインクラフト | シーザリオ | エアメサイア |
2006年 | キストゥヘヴン | カワカミプリンセス | カワカミプリンセス |
2007年 | ダイワスカーレット | ローブデコルテ | ダイワスカーレット |
2008年 | レジネッタ | トールポピー | ブラックエンブレム |
2009年 | ブエナビスタ | ブエナビスタ | レッドディザイア |
2010年 | アパパネ | アパパネ サンテミリオン (同着) | アパパネ |
2011年 | マルセリーナ | エリンコート | アヴェンチュラ |
2012年 | ジェンティルドンナ | ジェンティルドンナ | ジェンティルドンナ |
2013年 | アユサン | メイショウマンボ | メイショウマンボ |
2014年 | ハープスター | ヌーヴォレコルト | ショウナンパンドラ |
2015年 | レッツゴードンキ | ミッキークイーン | ミッキークイーン |
2016年 | ジュエラー | シンハライト | ヴィブロス |
2017年 | レーヌミノル | ソウルスターリング | ディアドラ |
2018年 | アーモンドアイ | アーモンドアイ | アーモンドアイ |
2019年 | グランアレグリア | ラヴズオンリーユー | クロノジェネシス |
2020年 | デアリングタクト | デアリングタクト | デアリングタクト |
2021年 | ソダシ | ユーバーレーベン | アカイトリノムスメ |
2022年 | スターズオンアース | スターズオンアース | スタニングローズ |
2023年 | リバティアイランド | リバティアイランド | リバティアイランド |
2024年 | ステレンボッシュ | チェルヴィニア | チェルヴィニア |
2025年 | エンブロイダリー | カムニャック |

日本の近代競馬におけるクラシックの重要性
日本の近代競馬においては、とくに「種牡馬としての価値」の観点において、クラシックレースでの成績がとても重要視されています。
というのも、競馬に携わる方の大きな夢のひとつに「ダービーを勝つこと」がありますが、競馬界には「ダービー馬はダービー馬から」という格言があります。
実際に、2015年にダービーを制したドゥラメンテの父親は2004年にダービーを制したキングカメハメハですし、2007年にダービーを制したウオッカの父親は2002年にダービーを制したタニノギムレットです。
そのため、将来的な種牡馬入りを目指すためには、クラシック(特にダービー)での勝利がほぼ必要不可欠です。
競走馬の特性や距離適性は、馬ごとに異なります。
ただ、クラシックディスタンス(牝馬は1600m~2400m、牡馬は2000m~3000m)に適性があると判断された多くの競走馬は、クラシックレースでの勝利を目指すように調教されるのが一般的です。
また、クラシックディスタンスへの適性がある(であろう)種牡馬は、短距離やダートのレースに高い適性をもつ種牡馬よりも、種付け料が高額になる傾向にあります。
それほどまでに、日本の近代競馬における「クラシック」は大きな意味をもっています。

競馬のクラシックは一握りの馬だけが勝てるレース

競馬のクラシックは、桜花賞、皐月賞、優駿牝馬(オークス)、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞の5つのレースの総称です(秋華賞を含める場合もあり)。
いずれも3歳馬のみが出走できるレースなので、多くの3歳馬はクラシックレースに出走することを大きな目標のひとつとして調教され、レースに臨みます。
サラブレッドは毎年数千頭単位で生産されますが、そのうちクラシックホースになれるのは最大でも6頭と、とても狭き門です。
クラシックレースの応援をしたり馬券を購入したりする際は、「その世代のトップオブトップが集結したレース」であることを意識すると、より観戦や応援にも力が入るかもしれませんね。

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