ばんえい競馬に「馬がかわいそう」と批判の声!海外の反応や死亡事故について解説

ばんえい競馬に「馬がかわいそう」と批判の声!海外の反応や死亡事故について解説
山田 健太郎 この記事の監修者 山田 健太郎
   

競馬歴30年。地方競馬新聞記者として10年間勤務。競馬情報サイトの編集長として5年間勤務。その後、フリーランスライターとして独立し、競馬関連の執筆活動を開始。

現在は、競馬情報サイトや雑誌への寄稿、競馬関連書籍の執筆などを行っている。

ばんえい競馬は北海道の帯広競馬場で行われている世界唯一のレースで、ばん馬と呼ばれる馬が最大1tにもなるソリを曳きゴールを目指すものです。

独特なレースと言うこともあり、近年は世界中から注目が集まっています。

ばん馬の力強さなど魅力のあるばんえい競馬ですが、一方で馬がかわいそうという意見が多いのも事実です。

馬を操縦する騎手のスタイルとか、馬の死亡事故や事件が影響しているようですが、それらはどんなことなのでしょうか。

またばんえい競馬の馬はかわいいという意見もあり、こちらも気になるところです。

ばんえい競馬の馬はかわいそうなのかを徹底調査しました。

目次

ばんえい競馬で「馬がかわいそう」と言われる3つの理由

ばんえい競馬で「馬がかわいそう」と言われる3つの理由

ばんえい競馬は地方競馬の一つですが、レース形態は一般の競馬とは全く異なります

例えば距離は200mでセパレートコース、騎手は馬に乗らないで操るなど数え上げたらきりがありません。

そんなばんえい競馬で「馬がかわいそう」という声が聞こえてきますが、それはどのようなことなのでしょうか。

考えられる3つの理由を見ていきましょう。

重いソリを曳くレース

ばんえい競馬の映像を見て真っ先に感じるのは、スピード感の無さではないでしょうか。

一般の競馬が最高時速70kmほどになるのに対し、ばんえい競馬は200mの距離を2分も掛けて走ります。

観客が馬に付いていけるレベルで、走るというよりは歩く感じに近いです。

その理由はばんえい競馬のばん馬と呼ばれる馬が体重1tにもなる大型であることと、重さ1tにもなるソリを曳いていることにあります。

ばんえい競馬は馬齢やクラスによって、460kgから1tのソリを曳いてゴールを目指す独特な競馬なのです。

そのため一般の競馬に比べてばんえい競馬の馬は苦しそうに走り、それを見ている人はかわいそうと感じてしまうのでしょう。

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長い手綱で馬を追う

一般の競馬は上手な騎手ほどムチをあまり使用しないで、馬をスマートに走らせると言われています。

それに対しばんえい競馬の騎手たちは、激しく馬を追うのが特徴です。

騎手はソリに乗って馬の後ろから操縦しますが、その際にべん打ちと言われる長い手綱の余った部分で馬をたたいて指示を出します。

ベン打ちは手綱がしなり馬を目一杯たたくので、それが馬を虐待しているように見えるようです。

馬はそれをどの位の痛さとして感じているのかは、馬に聞いてみないとわかりません。

一説にはべん打ちは肩をたたいて合図を送っている程度とも言われていますが、中央競馬ではムチの使用回数について細かく規定されています。

やはりムチの使用による馬への負担は、少なからずあると考えていいようです。

ばんえい競馬も時代に合った変更が必要なのではないかと感じます。

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1.6mの坂を越える

最大1tのソリを曳くばんえい競馬ですが、馬をもっと過酷な状態にしているのが2つの障害です。

全長200mのコースには高さ1.0mの第1障害と、1.6mの第2障害があります。

特に第2障害はばんえい競馬の勝負処で、ここにばんえい競馬の醍醐味があると言ってもいいほどです。

馬を一旦休ませ一気に駆け上がる騎手の駆け引きは魅力ですが、坂を上る時の馬の苦しそうな姿は見ている側も辛くなることがあります。

実際にこのような馬の姿を見たくないという理由から、ばんえい競馬だけはやらないという競馬ファンがいるほどです。

しかし馬が第2障害を越えたあとの、なんとなく誇らしげな姿も魅力的に見えます。

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ばんえい競馬に対する海外の反応

ばんえい競馬に対する海外の反応

日本の馬が強くなればなるほど、世界は日本の競馬に注目します。

そしてネット環境が整っている2025年現在は、世界中どこにいても日本の競馬を堪能できるのです。

ばんえい競馬に対する海外の反応を見ていきましょう。

「これは本当に酷い」という批判的な反応

ばんえい競馬に対して海外の方の反応で多いのは、「これは酷い」というものです。

前述した3つの理由が絡み合ってそうなるのだと考えられます。

「疲れている馬をさらに追う姿が虐待に見える」とか「見ていて辛い」というようなもので、これは日本人でもそう感じる人は多いでしょう。

フランスの凱旋門賞を映像で観ると、観客が正装で優雅に観覧しているのが目につきます。

良い意味で村祭のようなばんえい競馬と、フランスの競馬はそもそも成り立ちが異なり対極にあると言っていいでしょう。

そんな優雅な競馬を体験している海外の人たちからみれば、ばんえい競馬に批判的なのは当然のように感じます。

「こういう文化だ」という肯定的な意見

どこの国にも物の本質を見極めようとする人はいるもので、そんな海外の人たちはばんえい競馬を「日本の文化」と見てくれているようです。

ばんえい競馬は北海道開拓時代の厳しい生活の中、人と共に大地を切り開いていった農耕馬の力比べが発祥と言われています。

最初は2頭の引っ張り合いからソリを曳かせるものになり、お祭りの行事の一つとして自分の馬の力自慢を楽しんでいたようです。

そんな歴史をみると、現在残っているばんえい競馬は確かに文化とも言えます。

海外にもそのように見てくれている人がいると思うと、嬉しく誇らしくも感じますね。

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ばんえい競馬の死亡事故について

ばんえい競馬の死亡事故について

「人馬共に無事で」、レースを観戦する競馬ファンは、心の奥底でいつも思っています。

しかしその想いもむなしく、レース中に命を落としてしまう馬がいることも事実です。

ばんえい競馬の死亡事故について紹介します。

馬の死亡原因は心不全が多い

2024年6月1日の第4レース、1番ジェイフェアー号は順調に歩を進め、最大の難関である第2障害を越えていきます。

しかしそこで突然バタっと倒れて競走中止となり、残念ながら死亡が確認されました。

死因は心不全で、ばんえい競馬の場合レース中に死亡するほとんどがこれです。

これを見てばんえい競馬の馬はかわいそうという人がいます。

レース中に大きな負荷が掛かっていることは確かですが、心不全は人間でも他の動物でも起こり得ることです。

競馬関係者には馬のケアを厚くしてもらいたいですが、レース中の心不全はやむを得ないことと考えるのも大事なのではないでしょうか。

骨折や騎手の死亡事故は無い

一般の競馬では細い脚を骨折して、予後不良となる馬が多くいます。

天皇賞(秋)でのサイレンススズカの骨折は、今でも競馬ファンの心に鮮烈に残っているほどです。

また騎手の落馬事故は繰り返されていますし、実際に亡くなった騎手もいます。

一方ばんえい競馬では馬の脚が骨折して予後不良になるとか、騎手が落馬して亡くなるというようなことはありません。

しかしだからばんえい競馬の方が安全だ、などということではないのです。

一般の競馬でも、もっと広くいえばどんな公営競技でも事故が起きる可能性があるということを覚えておきたいですね。

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ばんえい競馬で馬を蹴る事件が発生

ばんえい競馬で馬を蹴る事件が発生

ばんえい競馬で騎手が馬を蹴るというショッキングな事件が起きました。

一体どのようなことだったのでしょうか。

事件の概要や処分内容、その奥にある真理を見ていきます。

能力試験で馬を蹴る

馬を蹴る事件は2021年4月18日の能力試験で発生しました。

能力試験とはデビュー前の馬が、実際のレースに出ても大丈夫かと試走するものです。

その馬は能力試験中の第2障害で、疲れ切ってしまったのか顔を砂に埋めるように倒れ込んでしまいます。

そこで騎手は手綱を目一杯引いて馬を起こそうとしますが上手くいかず、ソリから降りて馬の前に行き、その顔を蹴り上げたのです。

その映像がYouTubeなどで拡散され、大きな話題となりました。

馬を蹴った鈴木騎手はトップジョッキー

馬の顔を蹴ったのは鈴木恵介騎手で、通算3500勝を達成したばんえい競馬のトップジョッキーです。

トップジョッキーの起こした事件ということもあり、運営側には批判の声が多数寄せられました。

当初は「馬が言うことをきかずイライラした」、というようなことを言っていたという証言もあります。

もし本当にそうだとしたら、騎手を続けてほしくないですよね。

鈴木騎手の処分は戒告のみ

馬の顔を蹴ってしまった鈴木騎手は当面の間騎乗を自粛しましたが、運営側が下した処分は戒告のみでした。

騎乗停止などではなくかなり軽い処分に感じますが、それはばんえい競馬関係者が鈴木騎手を擁護する声を上げたことが理由の一つと言われています。

鈴木騎手が馬の顔を蹴ったのは、馬が砂を食べて肺に達してしまう「砂食い」を防ぐためだったという内容です。

擁護した競馬関係者は、こういうことは昔からよくあることとも付け加えています。

真実はわかりませんが鈴木騎手の蹴りは、馬のためにやったこととも考えられるわけですね。

試験不合格馬のほとんどは食肉になる

鈴木騎手を競馬関係者が擁護するもう一つの事情が、ばんえい競馬全体の問題にも関係していることでした。

それは、能力試験で合格できなかった馬のほとんどが食肉になるという事実です。

そのため騎手は全力で合格させようと馬と向き合いますし、それは生産者や厩舎関係者との信頼の絆とも言えます。

そしてその想いが強くなりすぎた時に、厳しいべん打ちなどに繋がるのではないでしょうか。

勝ち抜いて生き残っていくことは、どんな世界でも大変ですね。

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「ばんえい競馬の馬がかわいい」という声

「ばんえい競馬の馬がかわいい」という声

ばんえい競馬の馬はかわいそうという声がある一方、「かわいい」という声も多く聞かれます。

どのようなことなのか、かわいい馬たちを見ていきましょう。

たてがみの装飾は愛情を感じる

出典:HOKKAIDO LIKERS

一般の競馬でもありますが、ばんえい競馬はそれ以上にたてがみが装飾された馬が多い印象です。

サラブレッドより大きなばん馬は、大きな装飾がよく似合います。

たてがみの装飾はシンプルな三つ編みから花飾り、ゴージャスなものまで多種多様です。

これらを見ていると厩舎関係者の愛情が感じられて、ファンも嬉しくなってしまいますね。

ゴール後の整列した馬たちがかわいい

出典:HOKKAIDO LIKERS

ばんえい競馬は一般の競馬と違い、ソリの後端が入ってゴールとなります。

そしてゴールした馬は一般の競馬のようにキャンターで脚のケアをするわけではなく、ピタッと止まってソリが外されるのをじっと待つのです。

何頭もの馬たちが整列して、なんとも言えない表情をしています。

それは走りきった満足感というよりは、レースが終わってホッとしている感じです。

その表情がかわいらしく、無事に完走できたことを祝ってあげたくなりますよ。

ばんえい競馬の馬はかわいそうなのか:まとめ

ばんえい競馬の馬はかわいそうなのか:まとめ

ばんえい競馬の馬はかわいそうなのかについて解説しました。

独特なレース形態から、馬が「かわいそう」に見えてしまうことがあるようです。

2025年現在、人権や動物愛護の考え方が急速に変化してきていることも背景にあります。

10年20年前は当たり前だったことも、現在ではその価値観が通用しないことが多いです。

人の喫煙なんかもその一つですね。

ばんえい競馬が昔からの価値観を変更しないでいることもありますが、それが日本文化の継承だとも言えます。

しかし伝統文化を守りながらも、現代的にアップデートしていく必要もあるのではないでしょうか。

ばんえい競馬の馬たちは、かわいそうなだけでなくかわいくもあります。

百聞は一見にしかず、帯広競馬場に行ってばんえい競馬を見てみましょう。

皆さんのいろいろな価値観が変わるかもしれませんよ。

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この記事を書いた人

競馬は奥深いギャンブルであり、楽しみ方は人それぞれです。私は、競馬ファン一人ひとりの楽しみ方に寄り添い、競馬の魅力を伝える記事を執筆していきたいと思っています。

<略歴>
・地方競馬新聞記者として10年間勤務
・競馬情報サイトの編集長として5年間勤務
・フリーランスライターとして独立し、競馬関連の執筆活動を開始
・現在は、競馬情報サイトや雑誌への寄稿、競馬関連書籍の執筆などを行っている

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