
競馬にはさまざまな「脚質」があり、脚質によって戦法は大きく異なります。
王道の走りをして危なげなく勝つ馬もいれば、毎回「そこから届くのか…?」というようなレースをして、ファンの気持ちをひりつかせるような馬もいるでしょう。
後者のような馬の脚質のことを、一般的に「追い込み」といいます。
本記事では、「追い込み」と呼ばれる脚質およびそのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
併せて、追い込み馬で「強い」とされる馬を動画付きで紹介しますので、追い込みという脚質に興味がある方はぜひ参考にしてください。
競馬の「追い込み」とは?
競馬の「追い込み」とは、レース中は馬群の最後方付近に陣取り、最後の直線だけで前の馬をごぼう抜きするような走りをする脚質のことを指します。
仮に16頭立てのレースだとすると、馬群を4頭ずつ4分割したときの一番後ろの4頭が、「追い込み」と呼ばれる脚質に該当するようなイメージです。
レース中は前の争いに対して「我関せず」みたいな雰囲気で走りながら、最後の直線では一気にアクセルをふかして馬群を飲み込むような走りをします。
うまくハマるかどうかは展開にも大きく左右されますが、馬券を買っている方からすればハマったときの脳汁はとんでもないでしょう。
なお、ほぼ毎回「追い込み」の形で走る馬もいれば、スタートで出遅れてしまい半ば強制的に「追い込み」の形で走らざるを得なくなってしまう馬もいます。
後者の場合、普段とは異なるレース展開を強いられることになるので、その馬本来の力を発揮できないまま沈んでいくケースが大半です。

\パチンコ・パチスロ・競馬・スポーツ・カジノゲームなど盛りだくさん!/
競馬の「追い込み」以外の脚質

競馬には「追い込み」以外にもいくつかの脚質があります。
中には「追い込み」との区別が難しいようなものもありますが、「追い込み」以外の基本的な脚質を以下で解説しましょう。
逃げ
「逃げ」は名前のイメージどおり、レースにおいて先頭を走る脚質を指します。
逃げの馬が1頭しかいなければ単独での逃げになりますが、逃げの馬が2頭以上いる場合、レースがどのような形で進むかは始まってみなければわかりません。
逃げの馬同士で競り合いながら進むケースもありますし、1頭が抜きんでて逃げてほかの逃げの馬が結果的に逃げられずにレースをすることになる場合もあります。
一般的にレースのペースは、逃げ馬がどれくらいのペースで逃げるかによるため、レースの流れを左右する脚質です。
また、印象的なレースをする馬が多いのも、「逃げ」という脚質の大きな特徴でしょう。
その強さを多くのファンの記憶に刻んだサイレンススズカやタイトルホルダー、個性的な逃げで多くのファンの心をつかんで離さなかったツインターボやパンサラッサなど、魅力的な逃げ馬が数多くいます。

先行
先行は、馬群の前のほうでレースを進める脚質の馬を指します。
「馬群の前のほう」というのはやや曖昧な表現ですが、実際のところ「どれくらい前なら先行か」に関して具体的な定義があるわけではありません。
先頭でレースを引っ張る馬は上述したように「逃げ」の脚質に分類されるので、「先行」ではありません。
そのため、「馬群の前のほう5%~45%あたり」を駆けている馬を、おおまかに「先行」のくくりにするのが一般的です。
18頭立てのレースであれば、馬群の形にもよりますが、「おおよそ3番手~8番手あたりまでが先行」という認識で問題ないでしょう。
代表例としては、2025年のダービーを勝ったクロワデュノールや、牝馬三冠を獲得してJRAの年度代表馬に2度輝いた女傑、ジェンティルドンナなどが挙げられます。
差し
「差し」は、レースにおいて馬群の後ろのほうを走る脚質を指します。
先行馬の後ろを走るのが差しの馬になりますが、馬群をちょうど半分に割って前半分が先行、後ろ半分が差し、というように区別するわけではありません。
先行と差しの分布はグラデーションのようになっており、馬群でのポジションが前から後ろになるにつれて、徐々に選考から差しに傾いていくようなイメージです。
差しの馬は、最終直線に向かう頃にはまだ馬群の後方にいることが多く、最後の爆発的な末脚で勝負をする馬が多くなります。
代表例としては、2023年に牝馬三冠を達成したリバティアイランドや、天才ジョッキー武豊に初のダービー勝利をプレゼントするなどG1で4勝を挙げたスペシャルウィークなどが挙げられます。

まくり
まくりは、レース前半は馬群の最後方付近に位置しながら、3~4コーナーで徐々にポジションを押し上げて最終直線ですべての馬を飲み込むような走りをする脚質です。
レース序盤は馬群の後方にいることから「追い込み」と混同されやすいですが、追い込みとの違いは「レース中の動きの有無」にあります。
追い込みは基本的に最終直線までジッとして力を温存していますが、まくりはレース後半あたりで自分から少しずつ前に動いていきます。
まくり脚質の馬が動くと自然とレース全体も動くため、レースのペースや競走馬の体力に大きな影響を与える脚質といえるでしょう。
代表例としては、イクイノックスとの比較も記憶に新しいG1レース5勝馬のドウデュースや、個性的な走りで多くの人を魅了したゴールドシップなどが挙げられます。
競馬のレースにおける追い込み馬のメリット

競走馬はさまざまな脚質でレースを走りますが、それぞれの脚質は特徴やメリット・デメリットがそれぞれ異なります。
ここでは、競馬のレースにおける追い込み馬のメリットを見ていきましょう。
直線が長いコースではごぼう抜きできる
追い込み馬は道中は馬群の最後方を追走するため、レース最後の直線まで力を温存できます。
そして、最後の直線で逃げ馬や先行馬などが力を使い果たして脚が鈍る中で力を解放して、前を行く馬をごぼう抜きします。
この戦略がもっともうまくハマるのは、「直線が長いコース」です。
競争馬はゴーサインを出されてからすぐにトップスピードまで速度を上げられるわけではなく、ジョッキーの指示に従いながら徐々に速度を上げていきます。
そのため、直線が長くなればなるほど最高速で走れる区間が長くなり、能力を最大限に発揮しやすくなります。
東京や新潟といったコースは最終直線が長いことが大きな特徴なので、そういったコースでは追い込み馬の戦法がピッタリはまるレースを見られる機会が多いでしょう。

不利を受けにくい
先行や差しといった脚質の馬は、馬群の中でほかの馬との距離が近い状態でレースを進めるのが一般的です。
そのため、ほかの馬の動き方や進路取り次第では、前をカットされたり馬体がぶつかって弾かれたりといった不利を受ける場合もあります。
一方、馬群の最後方を走る追い込み馬の場合、そういった不利を受けることはあまりありません。
ストレスなく走れて馬の力を最大限に引き出しやすいのは、大きなメリットといえるでしょう。
戦法がシンプル
戦法がシンプルなことは、レースを有利に進めるうえで大事なポイントのひとつです。
先行馬の場合、「前の逃げ馬をいつかわすか」ということひとつを取っても、「最終コーナーまでなのか、最終直線でなのか」など、いろいろなことを考えなければなりません。
その点追い込み馬の場合は、「最終直線で末脚を爆発させて前をすべてかわす」という1点のみを考えていればOKです。
考えることややることが少なくなればなるほど、そのことだけを追求して磨き上げていけばいいので、一撃必殺の脚質たり得るでしょう。

競馬のレースにおける追い込み馬のデメリット
「追い込み」の脚質でレースを進めることには、上述したようにいくつもメリットがありますが、もちろんデメリットがないわけではありません。
競馬のレースにおける追い込み馬のデメリットについて、解説します。
レースのペースに左右されやすい
追い込み馬が最終直線で前の馬をすべてかわすためには、「前を走っている馬がある程度バテている」ことが前提となります。
各馬のバテ具合いはレースのペースによって左右され、レースがハイペースで進んでいれば前の馬の体力も消耗されているため、追い込み馬におあつらえ向きの展開です。
しかし、レースがスローペースで進んでおり、各馬が余力をもって最終直線を迎えられていると、追い込み馬がどれだけ頑張っても前の馬をかわせないケースが出てきます。
レースのペースや展開は逃げ馬の頭数や能力、まくり馬の有無などによって変わってくるため、追い込みの脚質で戦う以上不利な状況で勝負せざるを得ない可能性があることは、念頭に置いておきましょう。
コース形態によっては力を発揮しにくい
先ほども少し触れましたが、追い込み馬が能力を発揮しやすいのは、「最終直線の長いコース」です。
東京や新潟などのコースはこの条件に合致するため、追い込み馬がポテンシャルをフルに発揮しやすい舞台です。
しかし、競馬場によっては最終直線があまり長くなく、追い込み馬の末脚が輝きにくいようなコース形態のところもあります。
追い込み馬の馬券を購入するかどうかは、コース形態も加味したうえで判断しなければなりません。

競馬の追い込み最強馬3選【動画あり】
競馬ファンに「最強の追い込み馬はどの馬ですか?」と聞いたときに、100人中100人が同じ馬を答えることはまずありえません。
ただし、その能力や派手なレースっぷりから、多くの人から指示を得やすい馬は一定数存在します。
そこで以下では、「最強の追い込み馬」の候補になりえる馬を、レース動画付きで紹介します。
ブロードアピール
「追い込み最強」と聞いて多くの人が最初にイメージするのは、ブロードアピールという馬ではないでしょうか。
JRAのレースには芝のレースとダートのレースがありますが、このうちダートのレースは芝よりも逃げや先行といった前方脚質の馬が有利なことで知られています。
そんな中、2000年にブロードアピールがダートのG3重賞である根岸Sで圧巻のレースぶりを見せます。
レースでは道中最後方を追走し、最後の直線での位置取りもほとんど画面に映らないようなところです。
しかしそこから脅威の末脚を爆発させて、前にいた馬を一頭また一頭とかわしていき、最後には余裕をもって勝ち切るという競馬の常識からすれば考えられないようなレースを見せてくれました。
デュランダル
ダートと芝ではダートのほうが前方脚質が優位ですが、短距離と中長距離でレースを比較した場合、短距離のほうが前方脚質が優位な傾向にあります。
そのため、短距離~マイルといったレースで非凡な追い込みを見せた馬は自然と多くの人の印象に残りますが、そんな馬の一頭がデュランダルです。
デュランダルは、フランスの叙事詩「ローランの歌」に登場する英雄・ローランがもつ聖剣を名前の由来としていますが、その走りの切れ味はまさに聖剣のごとし。
ここまで「名は体を表す」を体現している馬は、ほかに例がないのではないでしょうか。
2023年のスプリンターズSやマイルCSの動画では、デュランダルの一級品の切れ味を堪能することができます。
ディープインパクト
ディープインパクトは、競馬にあまり詳しくない方でも名前を聞いたことがあるであろう、名馬中の名馬です。
ディープインパクトは、極端な逃げ以外ならあらゆる脚質で走ることができるオールラウンダーですが、彼の強さは追い込みやまくりでこそ発揮されると考える人は少なくありません。
ディープインパクトの追い込みでの強さを多くの人が体感したのは、皐月賞やダービーといったクラシックレースよりもさらに前のレースである「若駒S」です。
動画を見れば、ギアを入れてからの加速力やトップスピードの速さを体感できると思います。
競馬の追い込みは見ていて楽しい豪快な脚質

競馬の追い込みとは、レース中は馬群の最後方付近に陣取り、最後の直線だけで前の馬をごぼう抜きするような走りをする脚質です。
レース展開に左右されたり、コースによっては能力を発揮しにくかったりする脚質ではありますが、豪快なレースっぷりからファンの多い脚質でもあります。
とくに、自分が追い込み馬を中心に馬券を購入している場合、最後の直線で他馬をごぼう抜きする様子を目の当たりにすれば、興奮すること間違いありません。
追い込み馬に自分なりの「推し」を見つけたうえで、レース観戦や馬券購入を楽しむのもよいかもしれませんね。

\パチンコ・パチスロ・競馬・スポーツ・カジノゲームなど盛りだくさん!/



