競馬の特別競走とは?特別レースとの違いや意味を解説【有名な特別競走一覧あり】

競馬の特別競走とは?特別レースとの違いや意味を解説【有名な特別競走一覧あり】
山田 健太郎 この記事の監修者 山田 健太郎
   

競馬歴30年。地方競馬新聞記者として10年間勤務。競馬情報サイトの編集長として5年間勤務。その後、フリーランスライターとして独立し、競馬関連の執筆活動を開始。

現在は、競馬情報サイトや雑誌への寄稿、競馬関連書籍の執筆などを行っている。

競馬は年間を通して様々なレースが開催されます。

その中でも「特別競走」と呼ばれるレースは固有の名詞が付けられており、毎週何らかの特別競走が開催されます。

ところで、特別競走とそれ以外のレースはどのような違いがあるかご存じでしょうか?

また、特別競走と特別レースはどう違うのか気になる方もいるでしょう。

そこで、当記事では特別競走の基本的な情報をはじめ、ほかのレースとの違いや代表的な特別競走についてまとめました。

目次

競馬の特別競走とは?特別レースとはどう違う?

競馬の特別競走とは?特別レースとはどう違う?
  • 「競馬の特別競走が何なのか分からない」
  • 「特別競走と特別レースの違いが分からない」

競馬にある程度慣れた人の中にはこのような疑問を持たれる方もいるでしょう。

最初に、競馬の特別競走がどういったものか解説します。

特別競走とは固有の名称を持つすべてのレースを指す

競馬のレースには、新馬戦や未勝利戦、3歳以上1勝クラスといったレースもあれば、有馬記念や東京優駿など、固有名詞がついたレースがありますが、競馬における特別競走とは固有の名称が付いたレースのことです。

有馬記念や東京優駿といったレースだけではなく、丹頂ステークスや迎春ステークスといったグレードの付かない固有名詞が付いているレースもすべて特別競走です。

ちなみに、競馬のレースは下記のようにクラス分けされています。

すべての馬は新馬戦か未勝利戦でデビューし、G1を目指しますが、平場のオープン以上のレースはすべて固有の名称がつけられているので特別競走となります。

一般競走以外のレースはすべて特別競走

競馬の特別競走とは有馬記念や東京優駿など、固有の名称が付けられたレースを指しています。

では、「新馬戦」や「未勝利戦」といったレース名はなんと呼ばれるのでしょうか?

競馬において新馬戦や未勝利戦は一般競走として扱われます。また、「3歳上2勝クラス」のように年齢+クラスで表記されるレースも一般競走です。

ちなみに、中央競馬で開催されるレースは一般競走か特別競走しかないため必ずどちらかに区分されます。

固有名詞が付かないレースはすべて一般競走と認知してもらっても問題ありません。

特別競走と特別レースは同じ

テレビや人によっては競馬の特別競走のことを「特別レース」と呼ぶことがあります。

特別レースも固有名称が付いたレースのことを指しています。

特別競走と特別レースはどちらも同じ意味なので使い勝手の良いほうを使うと良いでしょう。

現在はグレードがない固有名詞があるレースを特別競走と呼んでいる

特別競走は固有名詞が付いたレース全般を指します。

ところが、近年はG1やG2、G3といったグレードの付いた特別競走は「重賞」と呼ぶようになりました。

重賞レースもすべて特別競走ですが、現在は重賞以外のオープン競走やリステッド、固有名称が付いたクラス戦を特別競走と呼びつつあります。

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競馬の特別競走の役割と意味

競馬の特別競走の役割と意味

競馬の特別競走と呼ばれるレースはたくさん存在しています。

しかし、一般競走と特別競走にどのような違いがあるのか、どうして特別競走と呼ばれるレースが存在しているのかご存じない方は多いのではないでしょうか。

ここからは競馬の特別競走の役割と意味について解説します。

特別競走は中級から上級クラスの馬が参戦しやすい

特別競走の大きな役割のひとつに強い馬が参戦しやすい傾向があります。

そもそも、競馬とはレースを通して最強馬を見つけることが目的とされています。

そのため、すべての競走馬は生まれた時からレースで勝利するか賞金を手にすることでより強い馬と戦い、勝ち続けることで最強馬を目指す運命に身を置くのです。

そして、特別競走に指定されているレースはすべて一般競走よりも格が高く、オープン以上のレースはすべて特別競走に指定されています。

ある程度賞金加算すると、特別競走しか出走するレースがなくなるため、特別競走には中級から上級クラスの馬が参戦しやすくなるのです。

特別競走の賞金は一般競走よりも高く設定されている

特別競走は一般競走よりも能力の高い馬が出馬します。

その理由は、一つ上の見出しでも解説したように強い馬になると特別競走しか出走できるレースがないからです。

しかし、それだけではなく特別競走は一般競走より賞金が高く設定されていることも能力の高い馬が参戦しやすい要因となっています。

例えば、2024年12月8日の中山競馬場では9レースにチバテレ杯、12レースに3歳上2勝クラスが開催されました。

チバテレ杯は固有名称が付いている特別競走ですが、出走条件は3歳上2勝クラスなので条件だけ見たら12レースと同じです。

しかしながら、それぞれの賞金を見てみると下記の表のような違いがありました。

9レース:チバテレ杯12レース:3歳上2勝クラス
1着本賞金1,550万円1,140万円
2着本賞金620万円460万円
3着本賞金390万円290万円
4着本賞金230万円170万円
5着本賞金155万円114万円

このように、同じ条件のレースでも特別競走と一般競走には約1.3倍近く賞金に差がありました。

また、特別競走に出走するには予め特別登録料を支払わなければなりませんが、集まった特別登録料はレースで1~3着に入線した馬に付加賞という形で分配されます。

具体的には1着馬に全体の7割を、2着馬は2割、3着馬は1割が付与されます。一般競走に付加賞はないため特別競走は一般競走よりも稼ぎやすいといえるでしょう。

競走馬を所有する馬主は元より、競走馬を管理する調教師や厩務員、競走馬に騎乗する騎手にとってレースの賞金は収入に直結するため、賞金額の高い特別競走はすべての競馬関係者が勝ちたいレースです。

一般競走よりも特別競走のほうが勝った時のメリットが大きいため、勝つために能力の高い馬を出走登録させます。

その結果、特別競走には強い馬が多数参戦するのです。

特別競走に出走するためには事前登録が必要

特別競走は一般競走よりも勝ったときのメリットが大きいです。

ところが、特別競走に出走するには予め出走登録を行わなくてはなりません。

特別登録は前週の日曜日(G1レースは前々週の日曜日)までに指定された特別料を支払うことで第1回の登録ができます。

続いて、レースが開催される週の木曜日正午から15時(G1は14時)の間に2回目の特別登録を行います。

そのうえで、レースに出走できる頭数以上の馬が登録していた場合は、優先出走権を得ている馬が優先で出走でき、続いて収得賞金の高い順番に出走が決まり、もしも収得賞金が同じだった場合は抽選で出走馬が選ばれるのです。

なお、登録料についてはグレードによって異なります。具体的には下記の表の通りです。

レースのグレード1回目の登録料2回目の登録料
グレードの付かない特別競走1万円2万円
G3全般
2歳G2
障害重賞全般
1万円4万円
G2(2歳G2除く)
2歳G1
2万円8万円
G1(クラシックと2歳G1を除く)6万円24万円

なお、3歳馬しか出走できないクラシック競走(皐月賞・東京優駿・菊花賞・桜花賞・オークス)の場合は3段階で登録を行わなくてはならず、同時に登録締切日時も異なります。詳細は下記の通りです。

登録締切登録料
1回目前年10月第4金曜日 12時1万円
2回目当年1月第4金曜日 12時3万円
3回目前々週の日曜日(14日前)36万円
追加登録前々週の日曜日(14日前)200万円

追加登録とは1~2回目の登録をしていなかった場合、レース開催2週間前までに200万円を支払うことで1~3回の特別登録を行ったことにする措置です。

2歳の時点では目立った活躍を見せなかったものの、3歳春までに結果を残しクラシックでも通用すると判断した場合に追加登録を行う場合があります。

ちなみに、史上初の秋古馬三冠を制したテイエムオペラオーや歌手の北島三郎さんが所有するキタサンブラックも追加登録を行い、クラシックレースを制していました。

なお、特別登録料は基本的に返還がありませんが、下記に該当した場合は返還されます。

  • 特別競走に登録したものの、抽選除外となり出走できなかった時
  • 何らかの原因でレースが開催されなかった時
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競馬で有名な特別競走一覧

競馬で有名な特別競走一覧

競馬にはさまざまな特別競走が開催されており、1年で1,000レース以上開催されています。

ここからは、年間で開催される特別競走の中から、グレードの付いた競走を除いた有名な特別競走を5つ紹介します。

若駒ステークス

若駒ステークスとは京都競馬場で開催される芝2,000mのリステッド競走です。

1月下旬に開催される3歳馬限定競走で、”若”い産”駒”、略して若駒が将来大きな舞台で活躍することを期待してこのレース名が付けられました。

若駒ステークスは典型的な中距離レースでなおかつクラシック緒戦のレースである皐月賞と同じ距離で開催されます。

そのため、皐月賞を目標とする馬が多数参戦します。

歴代の勝ち馬を見ても、不屈の名馬トウカイテイオー、無敗の三冠馬であるディープインパクト、ディープインパクトの産駒であるマカヒキが若駒ステークスで結果を残し、のちに大舞台で結果を残しました。

現在はG1レースの乱立やぶっつけG1が主流になっているためかつてほど有力馬の参戦は少なくなりましたが、それでも伝統あるレースとして存続しています。

東風ステークス

東風ステークスは3月に中山競馬場で開催される4歳以上の芝1,600mのリステッド競走です。

舞台となる中山の芝1,600mは数多くのレースで使用され、いくつかの重賞でも使われます。

レース内容に関してはほかのレースと大きな違いはありません。

特徴的なのがレース名です。

競馬には数多くのレース名が付けられていますが、その中には難読なレース名がいくつかあり、この東風ステークスもそれに該当しています。

東風ステークスは(こちすてーくす)と呼びます。

とうふうではありません。

東風の意味は「東から吹く春の風」を指し、春の訪れを告げるレース名となっています。

東風ステークスのように、競馬のレース名の中には難読レースがいくつかあるので、読解するのも競馬の楽しみ方ですよ。

米子ステークス

米子ステークスは6月中旬に阪神競馬場で開催される3歳以上の馬が出走できる芝1,600mのレースです。

レース名の米子は鳥取県米子市が由来で、2000年に米子市にウインズが開設されたことで特別レース名が付きました。

非重賞のマイルレースとして長く開催され、2019年にはリステッドに昇格、翌年2020年にはサマーマイルシリーズの第1戦に指定され、非重賞競走としては異例の厚遇を受けています。

ところが、2025年から米子ステークスは「しらさぎステークス」という名称に変更し、同時にG3に格上げすることが決まりました。

名称変更に伴い、米子ステークスは2024年で消滅することが確定してしまったのです。

2025年以降はしらさぎステークスという名称で開催されますが、オールド競馬ファンからしたら今後も元米子ステークスという位置づけで語り継がれることでしょう。

名鉄杯

名鉄杯は中京競馬場で開催されるダートのオープンレースです。

レース名の名鉄とは、愛知県を走る名古屋鉄道に由来し、寄贈賞を受けています。

開催時期や距離がたびたび変更される名鉄杯の最大の特徴は専用のファンファーレが用意されている点に尽きるでしょう。

また、レース開催前には独自のCGアニメーションが表示されます。それ以外にも生ファンファーレも披露されるなど、下手な重賞以上の演出がされています。

ちなみに専用ファンファーレが用意されている特別競走は名鉄杯以外にG1の宝塚記念しかありません。

レース自体はよくあるダートレースですが、専用ファンファーレや演出などからオープン競走の中では特に知名度の高いレースとなりました。

ファイナルステークス

ファイナルステークスは12月最後の週の最終レースで行われるレースです。

レース内容自体は3歳以上の3勝クラス戦なのでよくあるレースの一種ですが、一年で最後に開催されるレースなので勝って締めくくりたい人が券売機の前に殺到します。

その結果、クラス戦にも関わらず多くの人が注目するようになりました。

なお、ファイナルステークスは長らく阪神競馬場で開催されましたが、中山競馬場の照明増設に伴い、2023年以降は中山競馬場で開催されています。

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競馬の特別競走とは?まとめ

競馬の特別競走とは?まとめ

今回は競馬の特別競走についてまとめました。

特別競走は一般競走よりも賞金が高く設定されているため、強い馬が多数参戦します。

そのため、強い馬同士のレースが見たい方は特別競走に注目すると良いでしょう。

また、特別競走の名称にはさまざまな意味が込められているので、名前の由来を分析するのも楽しいですよ。

特別競走を通して競馬を楽しんでください。

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この記事を書いた人

競馬は奥深いギャンブルであり、楽しみ方は人それぞれです。私は、競馬ファン一人ひとりの楽しみ方に寄り添い、競馬の魅力を伝える記事を執筆していきたいと思っています。

<略歴>
・地方競馬新聞記者として10年間勤務
・競馬情報サイトの編集長として5年間勤務
・フリーランスライターとして独立し、競馬関連の執筆活動を開始
・現在は、競馬情報サイトや雑誌への寄稿、競馬関連書籍の執筆などを行っている

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