広大な北海道の道東地方にある帯広競馬場で、世界で唯一のばんえい競馬が行われています。
ばんえい競馬はばん馬と呼ばれる体重1tを超える大きな馬が、最大1tにもなる重いソリを曳いて走るのが特徴です。
また直線200mのコースの中に大小2つの坂があり、そこを上手く越えるのが騎手の腕の見せどころになります。
そんな独特な形態であるばんえい競馬の騎手は、どのようにしたらなれるのでしょうか。
一般の競馬と様々な違いがあるので、騎手になる方法も異なっていそうですよね。
試験内容や体重、年収に至るまで気になることはたくさんあります。
ばんえい競馬の騎手について徹底調査しました。
ばんえい競馬の騎手になるには?

馬と一体化したようにして乗る一般の競馬に対して、ばんえい競馬の騎手は長い手綱をいっぱいに使って馬を追います。
同じ騎手と呼ばれますが、それぞれの違いは大きいです。
ばんえい競馬の騎手になるための、基本的な条件を見ていきましょう。
厩務員を1年以上経験する必要がある
一般の競馬の騎手は競馬学校に入学して3年間(地方競馬は2年間)、競馬のルールや技術などを学んでから騎手試験を受けます。
一方ばんえい競馬は、騎手を養成する学校がありません。
ばんえい競馬の騎手になりたい人は厩舎に所属し、馬の世話をする厩務員を1年以上経験したあと、騎手試験を受験します。
言ってみれば現場主義、大工見習いや料理人が親方の仕事を見て技術を習得していくようなものですね。
朝早い仕事をしながら騎手試験の準備は大変だと思いますが、馬が好きな人にとっては良い環境なのではないでしょうか。

体重は75kg未満で調整する
ばんえい競馬の騎手の受験資格に体重が75kg未満とあり、一般の競馬の騎手は50kg未満なのでかなりゆとりがあります。
これはばんえい競馬の騎手のレース時の重量が、77kgと設定されているのが理由です。
ただ騎手の体重が軽すぎると馬を追う力が弱くなるので、体重管理は大切な仕事の一つですね。
何歳でも騎手になるチャンスがある
一般の競馬の騎手の競馬学校への入学は、20歳未満と決められています。
つまり20歳までに厳しい倍率をくぐり抜けて競馬学校に入学しなければ、騎手にはなれないのです。
一方ばんえい競馬の騎手は年齢制限がなく、例えば50歳の新人騎手が現れる可能性もあります。
小野木隆幸騎手は2022年にデビューしましたが、当時の年齢は39歳で過去最高齢の騎手試験合格者となりました。
騎手になる前は飲食店で接客業をしていたそうですが、自分の夢を追いかけて第2の人生を歩み出す姿はカッコいいですね。

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ばんえい競馬の騎手は女性でもなれるか

ばんえい競馬の映像を観ると、馬を叱咤激励して坂を越えさせる騎手の力に驚きます。
大変な仕事だと感じますが、ばんえい競馬の騎手は女性でもなれるのかを見ていきましょう。
女性でもばんえい競馬の騎手になれる
中央競馬では毎週のように女性騎手の活躍が話題になりますが、ばんえい競馬でも女性の騎手は存在します。
2024年12月現在ばんえい競馬にはふたりの女性騎手が在籍し、そのうち竹ヶ原茉耶騎手は大ベテランです。
2005年のデビューで20年近く馬を追い続け、積み上げた勝ち数は200を超えました。
「妥協しない」ことが信条で努力をし続けたからこそ、今なお活躍できるのだと感じます。

注目の女性騎手は今井千尋
ばんえい競馬のもう一人の女性が今井千尋騎手です。
今井千尋騎手は父がばんえい競馬の調教師(元騎手)という環境もあり、馬を間近で見て育ってきました。
ばん馬が活躍するばんえい競馬では変な言い方になりますが、今井千尋騎手はその道のサラブレッドでもあるわけです。
デビュー当初は手綱の使い方が悪く勝てませんでしたが、先輩騎手の映像を観るなど熱心に勉強してコツを掴みます。
そして勝利を重ね、最速記録となるデビュー1年で100勝を達成しました。
中央競馬で言えば、デビュー年に51勝した今村聖奈騎手のような存在でしょうか。
女性らしいしなやかさと大きく使えるようになった手綱さばき、そして持ち前の体幹の強さでブレない騎乗が強さの秘訣です。
今井千尋騎手を目標に新たな女性騎手が誕生すると、ばんえい競馬はもっと盛り上がっていきますね。

ばんえい競馬の騎手試験

ばんえい競馬は地方競馬の一つなので、騎手試験は地方競馬全国協会の管轄です。
しかしその内容は一般の地方競馬とは異なり、ばんえい競馬独自のものとなっています。
ばんえい競馬の騎手試験について見ていきましょう。
一発合格は難しい
ばんえい競馬は競馬学校が無いため、試験勉強は独学になります。
自動車教習所に通わずに運転免許センターで一発試験を受ける人がいますが、ばんえい競馬の騎手試験はそれと同じことですね。
そして自動車免許の一発試験での合格が難しいように、ばんえいの騎手免許も1回で合格する人はあまり居ません。
2022年に39歳でデビューした小野木隆幸騎手は4回目、最速100勝の今井千尋騎手はなんと6回目の試験で合格したのです。
第1次試験は筆記
ばんえい競馬の騎手試験で、各受験者を悩ますのが第1次の筆記試験です。
筆記試験は「競馬関係法規及び一般常識」と「馬の飼養及び騎乗に必要な技術」で、特に競馬関係法規は難しいと言われています。
この部分だけでも集中的に教えてくれる機関ができるといいですね。
第2次の実技試験は坂越え
第2次は実技試験で、ばんえい競馬なので坂越えを実際に行います。
受験者には難しいのではないかと考えますが、実技試験の映像ではスムーズに走らせているものが多いです。
登山は平地でどれだけ負荷をかけるよりも、登山自体が最高のトレーニングと言われています。
同様にばんえいの騎手受験者は、厩務員として日々馬と接していることが、最高の試験勉強になっているようです。

ばんえい競馬の騎手の年収

時に大怪我をしてしまうこともある騎手の仕事ですが、それに見合うだけの収入を得ているのでしょうか。
ばんえい競馬の騎手の年収を調査しました。
騎手の収入は進上金・騎乗手当・給与の3つ
騎手はどのような収入があるのか、競馬ファンであっても知らない人は多いと思います。
騎手の収入は進上金・騎乗手当・厩舎からの給与の3つです。
進上金はレースで5着までに入った時の賞金から得られます。
レース賞金は馬主のものですが、その5%が騎手の取り分です。
例えばばんえい記念の1着賞金は1000万円なので、騎手の収入は5%の50万円になります。
騎乗手当は、文字通りレースで騎乗した際に支払われるもので、レースの着順は関係ありません。
厩舎からの給与は所属している厩舎から騎手に支払われる月給で、勝ち数の少ない騎手にとっては貴重な収入源となります。
レース賞金の改善で年収UP
ばんえい競馬は存続の危機が言われていましたが、ネット投票の普及で復活を遂げました。
売上が上がり全体で利益が出れば、レース賞金も上がってきます。
2023年度と10年前の2013年度を比較すると、レース賞金が大幅にアップされたことがわかるのです。
レース・クラス | 2013年 | 2023年 |
ばんえい記念 | 300万円 | 1000万円 |
C2クラス | 6万円 | 24万円 |
このように一般競走であるC2クラスは賞金が4倍にもなり、5%にあたる進上金は3000円から12000円に増額されました。
一生懸命に馬を追って1着になっても、3000円ではモチベーションが保てません。
レース賞金がアップして騎手の収入が増えることは、とても良い循環ですよね。
2023年度の騎手の年収をシミュレーション
2023年度のばんえい競馬は21人の騎手が活躍し、リーディングの真ん中にあたる11位は103勝を挙げた今井千尋騎手でした。
今井騎手の年収をシミュレーションすることで、平均的な年収がわかるのではと考えます。
今井騎手の獲得賞金は60,142,000円だったので、進上金は5%の3,007,100円です。
騎乗回数は884なので、騎乗手当を5000円とすると4,420,000円になります。
そして厩舎給与を月給120,000円とすると、年間で1,440,000円です。
3つの収入の合計は8,867,100円となり、これがばんえい競馬の騎手の平均値に近いと考えていいのではないでしょうか。
中央競馬の騎手の数千万円の収入から考えると、まだまだ圧倒的に少ないです。
しかしながら2013年度のトップジョッキー鈴木恵介騎手は、177勝を挙げながら獲得賞金は19,865,000円で進上金はわずか993,250円に留まります。
騎手の年収がアップしたことで、あらたにばんえい競馬の騎手を目指す人が増えると良いですね。

ばんえい競馬の騎手になるには?まとめ

ばんえい競馬の騎手について解説しました。
騎手の仕事は馬と間近で関われてやりがいはあるでしょうが、それでも夢だけでは食べていけず収入の安定は大事ですよね。
それがレース賞金のアップにより、騎手の年収が増えて今後に期待が持てます。
ばんえい競馬の騎手は年齢制限が無く体重制限もゆるいので、気持ちさえ強くもっていれば第2の人生として歩んでいけるのです。
人生経験豊富なミドル世代が活躍してくれると、ばんえい競馬の歴史・文化の継承にも繋がりますね。
競馬ファンである私達は、ばんえい競馬の馬券を買って騎手を応援しましょう。
できれば現地帯広競馬場で熱い声援を送りたいですね。

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