日々、競馬を楽しんでいると、
「そういえば競馬の賞金ってどうなっているんだろう…」
と思うことはありませんでしょうか。
競馬に従事する人たちは、基本的に競馬のレース賞金で生計を立てています。
競馬の1着賞金は、
- 新馬戦が700万円
- G3レースは大体4000万円強
- G2は6000万～7000万円
- 2歳戦以外のG1レースは1億円～5億円
と、相場が決まっています。
そして、1着馬以外にも、賞金及び様々な報奨金が与えられます。
当記事では、意外と複雑な競馬の賞金について徹底解説します。
一口馬主を始めようと考えている人にとって、競馬の賞金について知ることは非常に有益でしょう。
もちろんそれ以外の方もこの記事を読んで、競馬の賞金に関する知識を深めていただければ幸いです。
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競馬の賞金(本賞金)は何着まで支払われるのか
一般的な競馬の賞金を、本賞金といいます。
例えば、競馬情報サイトなどの出馬表において
メイクデビュー札幌 本賞金 1着720万 2着290万 3着180万 4着110万 5着72万
といった記載があると思います。
これが本賞金です。
そして、記載の通り、5着までに入着すれば賞金が支払われます。
レースによってその金額は異なり、重賞ともなればかなり大きい額となります。
- G3レースは大体4000万円強
- G2は6000万～7000万円
- 2歳戦以外のG1レースは1億円～5億円
と、非常に大きな金額です。
我々馬券を買う身としては3着以内に入る馬しか注目していませんが、競馬関係者にとって、5着と6着の違いは非常に大きいのです。
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競馬で賞金以外にもらえる報酬
競馬における本賞金は、5着以内の馬までしか受け取ることはできませんが、6着以下の馬には何も支払われないのでしょうか。
結論として、そんなことはありません。
競馬のレースには賞金以外のさまざまな報酬があるのです。
10着までもらえる「出走奨励金」
まず紹介するのは出走奨励金。
出走奨励金とは、3勝クラス以下のレースであれば6着から9着以内、重賞含むオープン以上のレースであれば6着から10着の馬に支払われる奨励金です。
もらえる金額は、1着賞金をベースとして計算され、
- 6着：8％
- 7着：7％
- 8着：6％
- 9着：3％
- 10着：2％
となります。
このように、5着以内には入れなくても、奨励金という名の賞金が支払われるのです。
新馬戦や未勝利だと、この奨励金に関してはそこまで大きなものではありませんが、重賞やG1レースだと話が変わってきます。
例えば、G1皐月賞の1着賞金は2億円です。
もし皐月賞で6着に入ったならば、2億円の8%の1600万円が付与されます。
これは、2勝クラスの1着賞金と変わりません。
もし皐月賞で10着に入ったならば、2億円の2%として400万円が付与されます。
これは2勝クラスの3着の賞金と同じくらいです。
競走馬の陣営からすれば、400万円も貴重なお金であるため、貰えないより貰えたほうがいいに決まっています。
このように、重賞レースにおいては、10着と11着の間には大きな壁があるのです。
一部のG1などにある「特別出走奨励金」
10着以下（重賞は11着以下）のレースには何も支払われないのかというと、そうでないこともあります。
古馬のG1レース、一部のG2レースには、11着以下の馬にも「特別出走奨励金」というものが支払われるのです。
古馬のG1レースだと、11着以下の馬には150万円が付与されます。
その中でも、有馬記念やジャパンカップ、宝塚記念といった2000m以上の古馬混合G1は、200万円に増額。
また、毎日王冠や京都大賞典のような3歳以上の芝1,800m以上のG2レースでも、同じように奨励金が払われます
G2の場合、同奨励金の額は所属しているクラスによって変わり、オープン馬は100万円、3勝クラスなら50万円です。
なので、3勝クラスの馬が中距離G2に出てくることがありますが、出てくるだけでメリットがあるのです。
全馬に支払われる「特別出走手当」
競馬のレースは、10着以上となって獲得する賞金・奨励金以外にも、出走した全ての馬に支払われる「特別出走手当」というものが存在します。
この手当は、出走一回につき49万5千円が交付されるというものです。
いわゆる参加賞と思っていただければいいと思います。
ただ、この49万5千円というのは、特別出走手当のベースとなる金額です。
このベース金額から、さまざまな条件により加算、減算が発生し、付与される手当が変わります。
加算については下記のとおりです。
| レース | 追加される 金額(円) |
|---|---|
| 3歳以上 芝1800以上 | 6万 |
| 3歳 芝1800以上 | 3万 |
| 2歳戦すべて | 3万 |
| 障害レース | 1万 |
一方、減算については下記のとおりです。
| レース | もらえる 金額 |
|---|---|
| 1着馬より規定以上の 着差を付けられた場合 | 半額 |
| 3歳9月以降で 勝っていない馬 | 半額 |
| 5歳以上 賞金200万未満 | 半額 |
| 6歳以上 賞金200万～500万 | －12万 |
| 地方馬 | 半額 |
| 外国馬 | 交付なし |
規定以上の着差とは、距離や条件によって異なり、大体3～5秒です（障害は8～10秒）
単純に言ってしまえば、
- 非常に弱い馬
- 全く勝ったことがない馬
- 地方所属馬（ミックファイアなど）
- 外国馬（ロマンチックウォリアーなど）
は、この手当が減算されてしまいます。
また、非常に複雑なこの表を覚えるよりも、後で紹介する賞金計算ツールで計算してしまった方が早いかもしれません。
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知らない人も多い「距離別出走奨励賞」
ここまで紹介してきた奨励金・手当以外にも、他の奨励金が存在します。
「距離別出走奨励賞」は、知らない方も多いのではないでしょうか。
これは、古馬混合芝1800m以上のレースで10着以内に入った馬に交付される奨励金です。
そして、これは距離やレースレベルによって金額が異なります。
この奨励金が貰えるのは、2勝クラスより上のレースです。
- 芝1800m1着：140万円（特別の1勝クラスは80万）
- 芝2000m1着：260万円（特別の1勝クラスは140万）
- 芝2200m以上1着：380万円（特別の1勝クラスは200万）
といった形です。
2着馬から10着の馬は、1着の奨励金から減算されて貰うことができ、
- 2着：40％
- 3着：25％
- 4着：15％
- 5着：10％
- 6着：8％
- 7着：7％
- 8着：6％
- 9着：3％
- 10着：2％
の額が交付されます。
国内で生産された馬に交付される「内国産馬奨励賞」
内国産馬奨励賞という奨励金もあります。
これは、1着から8着までの国内で生産された馬に、奨励金が交付されるというものです。
そのため、外国産馬のマッドクールやレモンポップといった一部の馬は該当しません。
こちらはレースのレベルや馬の年齢によって変わり、
- G1で1着となった国内で生産された馬は330万円
- G2、G3の1着は230万円
という具合に決められているのです。
2着から8着は、1着賞金から減算され
- 2着：40％
- 3着：25％
- 4着：15％
- 5着：10％
- 6着：7％
- 7着：5％
- 8着：3％
となっています。
牝馬限定の「内国産牝馬奨励賞」
さらに、「内国産牝馬奨励賞」も存在します。
これは、牝馬限定以外の新馬・未勝利にて8着以内に入った国内で生まれた牝馬のみに付与されるもの。
新馬戦で勝利した国内で生まれた牝馬は、160万円が賞金とは別に与えられるのです。
このように、競馬においては多くの奨励金が存在しており、5着以内に入れなくても、様々な奨励金や手当の組み合わせにより、お金の付与があるのです。
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競馬における賞金の計算は「賞金シュミレーター」がおすすめ
競馬における賞金・奨励金は、レースの条件によって変わってくるため、自力で計算するのには相当な労力を必要とします。
一口馬主をやられている方は、賞金を計算することもあるでしょう。
そんな賞金を計算したい方向けに、簡単な賞金の計算方法があります。
それが、JRA公式の賞金シュミレーターを使用することです。
馬券を購入する一般的なファンには必要ないかもしれませんが、賞金を知ることで競馬の世界をさらに知ることができます。
また払い戻し金額の計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
競馬における賞金の配分
ここまで競馬のレースで貰える様々な賞金について紹介してきました。
そんな賞金は、誰にどれだけお金が渡るのでしょうか？こちらで見ていきましょう。
賞金や奨励金、手当などは
- 馬主
- 調教師
- 騎手
- 厩務員
で分け合いますが、その割合は以下の通りです。
- 馬主80％
- 調教師10％
- 騎手5％
- 厩務員5％
賞金2億円の皐月賞を勝ったジャスティンミラノを例に挙げると
- 三木オーナー：1億6000万円
- 友道調教師：2000万円
- 戸崎騎手：1000万円
- 厩務員たち：1000万円
となります。
ちなみに上の例は、奨励金・手当を除いた金額です。
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競馬の生産者に分配される賞金
競馬の賞金は、馬主、騎手、調教師、厩務員で分配されますが、生産者にも分配されるのでしょうか。
生産牧場に分配される「生産牧場賞」
生産牧場に交付される賞金は、「生産牧場賞」と言われます。
この賞金は、5着までに交付されます（1勝クラス以下は3着まで）。
詳細は下記のとおりです。
| 1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 | |
| G1 | 100万 | 40万 | 25万 | 15万 | 10万 |
| 重賞 | 65万 | 45万 | 16万 | 10万 | 7万 |
| 特別競走 | 45万 | 18万 | 11万 | 7万 | 5万 |
| 特別以外の 1勝クラス | 38万 | 15万 | 10万 | なし | なし |
| 新馬 未勝利 | 34万 | 14万 | 10万 | なし | なし |
生産牧場には、これらの金額が交付されています。
母馬の生産牧場は「繁殖牝馬所有者賞」をもらえる
「繁殖牝馬所有者賞」とは、当該馬が生まれた時、母馬を所有していた生産牧場、もしくは馬主に交付されるものです。
つまり、ノーザンファームが持っている繁殖牝馬の子どもが勝てば、繁殖牝馬所有者賞がノーザンファームに付与されることになります。
交付額は以下のとおりです。
| 1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 | |
| G1 | 130万 | 52万 | 33万 | 20万 | 13万 |
| 重賞 | 80万 | 32万 | 20万 | 12万 | 8万 |
| 特別競走 | 45万 | 18万 | 11万 | 7万 | 5万 |
| 特別以外の 1勝クラス | 40万 | 16万 | 10万 | なし | なし |
| 新馬 未勝利 | 36万 | 14万 | 9万 | なし | なし |
これは、競馬の血統にも関係してくる話です。
競馬の騎手は賞金以外に「騎乗手当」をもらえる
騎手の中には、川田騎手のように100勝以上している騎手もいますが、中には5勝にも満たない騎手もいます。
ただ、そんな騎手たちも、賞金以外の様々な収入があるのです。
まず、騎手は騎乗するだけで27,500円貰える「騎乗手当」があります。
ちなみに、重賞騎乗は44,500円、G1だと64,500円に増額します。
さらに障害レースだともっと高く、通常レースでも86,500円、重賞で116,500円、G1だと146,500円の同手当が発生します。
そして、それに加え、「騎乗奨励金」も存在します。
これも騎乗手当と近いものがありますが、レースレベルに関係なく、1騎乗で16,000円が与えられます。
このように、中央競馬の騎手は、勝てなくても騎乗するだけでかなりの額を稼ぐことができるのです。
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競馬の賞金にかかる税金
競馬の賞金については、馬主業を事業としている法人や個人であれば、事業所得となります。
それ以外だと雑所得です。
よって、一口馬主で競馬の賞金が出た方は、雑所得として税金を支払う必要があるでしょう。
競馬の賞金・手当から運営費や輸送費・減価償却費を引き、それが20万円を超える金額であれば、その金額に沿った税金を収めなくてはなりません。
一口馬主で、持ち馬が重賞を勝ち、まとまった賞金が入ってきた方は注意する必要があります。
また、あなたが馬券を当てて高額の賞金を当てた場合も、税金を払わないといけません。
日本競馬における高額賞金レースランキングTOP3
日本競馬において、一番安い未勝利戦の1着賞金は550万円ですが、G1の1着賞金は1億円を超えます。
そのG1においても賞金額はレースごとに異なり、驚くような賞金が付与されるレースも存在します。
ここでは、日本競馬における高額賞金レースランキングを紹介します。
1位：ジャパンカップ
1位はジャパンカップです。
ジャパンカップは1981年に創設された、日本競馬初の国際G1競走。
東京2400mで行われ、古馬G1における頂点を決めるレースとして知られています。
当初は1着6500万円でしたが、1989年に1億円を超え、その後どんどん賞金が増額。
2024年の本賞金は、
- 1着：5億円
- 2着：2億円
- 3着：1億3000万円
- 4着：7500万円
- 5着：5000万円
と、中央競馬最高額のレースとなっています。
1位：有馬記念
同じく1位は有馬記念です。
有馬記念は1956年に「中山グランプリ」という名で創設。
その翌年、創設者の有馬頼寧氏が亡くなり、「有馬記念」という名称に変更されました。
中央競馬の1年を締めくくるレースとして、日本競馬ではいちばん有名なレースと言っても過言ではない有馬記念。
そんな有馬記念は、中山2500mで行われ、ジャパンカップと同じく古馬の最強決定戦として知られています。
その賞金は、ジャパンカップと同じく、1着6500万円でしたが、1989年に1億円を超え、その後どんどん賞金が増額。
2024年の本賞金は、
- 1着：5億円
- 2着：2億円
- 3着：1億3000万円
- 4着：7500万円
- 5着：5000万円
で、ジャパンカップと同じく中央競馬最高額のレースとなっています。
3位：日本ダービー
3位は日本ダービーです。
3歳馬の頂点を競う当レースですが、3歳馬を含めた全ての馬の最強決定戦である上位2つのG1より賞金的には劣ります。
2024年の本賞金は、
- 1着：3億円
- 2着：1億2000万円
- 3着：7500万円
- 4着：4500万円
- 5着：3000万円
で、3歳クラシックの最高額レースとなっています。
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競馬の歴代獲得賞金ランキングTOP3
多くの馬が1000万円も稼げず引退する中、10億円以上を稼いだ馬も存在します。
ここでは、競馬の歴代獲得賞金を、ランキング形式で発表します。
1位：ウシュバテソーロ
1位は現役馬のウシュバテソーロです。
中央G1勝利はありませんが、2023年、賞金9億円以上のドバイワールドカップを制しました。
2024年も高額賞金で知られるサウジC、ドバイワールドカップで2着となり、歴代獲得賞金ランキングの1位に躍り出た当馬。
日本競馬歴代最強のダート馬は、獲得賞金でも歴代最高となったのです。
2位：イクイノックス
2位は歴代最強馬と称されるイクイノックスです。
イクイノックスは、天皇賞・秋連覇、有馬記念、ドバイシーマクラシック、宝塚近縁、ジャパンカップと、古馬G1を6勝。
近年の賞金高騰もあり、歴代獲得賞金の2位となっています。
3位：アーモンドアイ
3位は牝馬のアーモンドアイです。
G1勝利数は歴代最多の「9」です。
ですが、G1勝利のうち、比較的賞金の安い牝馬限定G1が4つあるため、他の2頭には及ばず3位となっています。
さらに詳しい獲得賞金ランキングについて知りたい方は、以下の記事をお読みください。
おまけ：競馬の賞金はどこから出るのか
ここまで、競馬の賞金について詳しく紹介してきました。
そんな競馬の賞金は、私たちが購入する馬券の売上から出てくるのです。
あなたが購入する馬券は、的中した人への分配と、JRAの運営費に充てられます。
その運営費から賞金が出ているので、私たちが競馬を営みにしている人を支えている、ということになるのです。
そう考えると、競馬で負けても
「これが頑張っている騎手や調教師のお金になるんだ…」
と思うことができ、心を落ち着けることができるかもしれませんよ。
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