競馬をやっていると、「上がり」という言葉を良く聞きます。
競馬中継では、レース終了後に「勝ち時計は1分32秒5、上がり3ハロン33秒8でした」などとアナウンスされますね。
勝ち時計はいいとしても、上がり3ハロンって一体何のことか初心者にはわからないことでしょう。
この記事では、そんな競馬初心者の方に向けて、競馬の上がりについて解説します。
競馬評論家は、自分の予想を組み立てる時に、上がり3ハロンの指標をよく使う印象です。
それは上がりが競馬を予想する上で、重要な要素の一つであるからなのですが、初心者には難しく感じてしまうかもしれません。
上がりを競馬予想に活かす方法を、競馬初心者の方にもわかりやすく紹介します。
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競馬における上がりとは?
上がりとはレースや調教の終盤のことをいい、上がり3ハロンとはゴールから逆算して、3ハロン(600m)という意味です。
ちなみに、レースや調教のスタート直後を「テン」、中盤を「なか」、終盤を「上がり」または「しまい」といいます。
昔から「テン良し、なか良し、しまい良し」と完璧なレース展開をする馬はこのように言われてきました。
さて、ではなぜ競馬で上がり3ハロンが大事なのかを見ていきましょう。
3ハロンが重要な理由
競馬のレースを見ていて最もテンションが上がるところは、やはりゴール前ではないでしょうか。
騎手がムチを振るい馬が全速力で走る姿を見ると、競馬を良く知らない人でも力が入ります。
上がり3ハロンとは、まさにその壮絶なたたき合いが行われているところです。
上がり3ハロンは、馬が最も能力を発揮するところで、そのタイムを見ると馬の潜在能力を知ることができます。
そして、2ハロンや4ハロンではなく3ハロンなのは、哺乳類が全力で走れる時間が40秒であるということに関係しています。
時速50kmほどで走る競走馬の40秒が、約3ハロンにあたるのですね。
そんなことから競馬の上がり3ハロンは、馬の能力比較に大事な指標となっているのです。
競馬場や距離によって基準は異なる
3ハロンタイムは、速い方が良いことは確かですが、競馬場や距離によっても基準は異なるので注意が必要です。
たとえば、新潟競馬場の芝コースは最後の直線距離が658.7mあり、馬場が広く平坦という特徴があります。
そのため、上がりタイムが速くなる傾向があるのです。
一方、直線距離が525.9mと新潟に次いで長い東京競馬場は、直線の途中に高低差約2mの登り坂があるため、速いタイムを出しづらいです。
一周の距離が短い小倉競馬場は、3コーナー付近が残り600m地点であるため、コーナーを回ることによるスピードロスは避けられません。
また、競馬は1,200mや3,000mなど様々な距離のレースがあります。
当然、距離が短ければ上がり3ハロンタイムは速くなる傾向がありますが、これはレースのペースによっても左右されるので一概にはいえません。
このように、競馬場や距離によって上がり3ハロンタイムは変わるので、様々な状況があることを覚えておきましょう。
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競馬の上がりを予想に活用する方法
ここでは、競馬の上がりをどのように予想に活かしたらいいのかを見ていきます。
これまで走破タイムを比較していただけの人は、上がり3ハロンタイムと組み合わせることによって、予想の精度が上がりますよ。
上がり3ハロンタイムは、単純に比較してもある程度のことはわかりますが、それだけでは不足していることなども紹介します。
上がりを比較してみよう
まずは、上がり3ハロンタイムそのものを比較してみましょう。
やり方としては競馬新聞等で、出走馬の過去のレースの上がり3ハロンタイムだけを見ます。
競馬場・距離・クラスに関係なく、芝のレースで34秒以下で走ったことのある馬は、潜在能力が高い馬です。
たとえば、過去に33秒5で走ったことのある馬は、その上がりタイムで走る可能性があるということになります。
予想の仕方の一つとして、上がり34秒以下の馬を探しだし、その馬同士の比較をしてみるということは有効です。
これに走破タイムや近走の実績をプラスすれば、オリジナリティある予想が組み立てられると思います。
競馬では上がりが優秀だけでは勝てない
上がり3ハロンタイムで優秀な持ち時計のある馬は、能力が高いと言っていいですね。
しかし、それだけでは競馬で勝つことはできません。
それは競馬のレースは、スローやハイなどのペースがあり、それにより大きく変わるからです。
一例として、2024年の高松宮記念を検証してみましょう。
レースは、マッドクールが1分8秒9のタイムで優勝し、2着に同タイムでナムラクレアが入りました。
このレースは、前半34秒9、後半(上がり3ハロン)34秒0であきらかにスローペースです。
レースで前の方にポジションをとったマッドクールは、力を蓄えたまま後半に入り上がり3ハロン33秒7でゴールしました。
一方のナムラクレアは、後方から33秒2の最速の上がりタイムで追い込みますが、マッドクールを差しきれずアタマ差の2着に敗れます。
これがもしハイペースでレースが進んでいたら、マッドクールは失速しナムラクレアが優勝していたことも考えられます。
このようにレースがスローペースになった場合、上がり3ハロンタイムが優秀なだけでは勝てないこともあるのです。
上がりを重視したい競馬場
東京競馬場は、最後の直線が長く馬場も広いため、後方待機の馬が不利を受けにくいコースです。
そのため、距離に関わらず、上がりタイムを重視したい競馬場といっていいでしょう。
逃げ・先行馬と、それを捉えようとする差し・追い込み馬の直線の追い比べは、JRAの競馬場でも1・2を争う見応えがありますね。
また、芝2,000mのコースは、特に差し・追い込みが決まりやすいと言われています。
このコースは、スタートして大きく左にカーブするため、逃げ・先行馬のポジション争いが激しくなりハイペースになりやすいからです。
上がり3ハロンタイムが優秀な馬は、激しい先行争いを見ながらゆっくりレースを進めます。
そして、逃げ・先行馬がバテてきた後半に、一気にスパート、ゴール前で抜き去っていくのです。
東京競馬場では、上がり3ハロンタイムを重視して予想を組み立てましょう。
競馬における最速上がりタイム
競馬における最速の上がり3ハロンタイムは、31秒4という信じられないようなものです。
これを記録したのは2頭いますが、1頭は直線だけの新潟1,000mのレースなのであまり重視できません。
新潟競馬場芝1,600mでこの記録を出したのが、デビュー初戦のリバティアイランドです。
レースは、中団につけたリバティアイランドが、直線で一気に突き抜けた内容でした。
勝ちタイム1分35秒8はそれほど速くありませんが、上がりタイムの出やすいコースとはいえ、31秒4は衝撃的な数字でした。
昔、競馬評論家の大川慶次郎さんが、圧倒的な逃げ馬サイレンススズカを評して「エンジンが違う」といっていました。
しかし、デビュー戦のリバティアイランドは、まさにそんなことを感じさせました。
上がり3ハロンタイムの瞬発力は、車で言うところのエンジンの排気量の違いに近いのかもしれませんね。
リバティアイランドの活躍と上がり
デビュー戦で上がり3ハロン31秒4の脚を披露したリバティアイランドは、その後牝馬3冠を楽々と達成します。
ジャパンカップでイクイノックスの2着、ドバイシーマクラシックを3着と堂々の成績を残しています。
この先、どれだけのGⅠタイトルを獲得するのかが楽しみです。
このように、上がり3ハロンタイムで優秀な数字を出した馬は、概ね活躍しているようです。
きちんと調整されてレースに出走すれば、上がりがしっかりしているので必ず差してくる、という安心感がありますね。
しかし、現代の競馬はどちらかといえば、逃げ・先行が有利です。
すんなりと先行できて、上がり3ハロンタイムも速い馬がもっとも勝利に近いと言えます。
そんな意味では、イクイノックスは世界NO.1にふさわしい馬でした。
最後のレースとなったジャパンカップでは先行して3番手につけ、直線を向くと加速、メンバー中最速の上がり33秒5で4馬身差の圧勝となりました。
リバティアイランドより前にいて、上がりも最速なのですからどの馬もかないませんよね。
まとめ:競馬の上がりとは?
この記事は、競馬の上がりについて解説してきました。
上がり3ハロンタイムは競馬の予想をする上で、大事な要素の一つということがわかっていただけたと思います。
上がりが速い馬は、絶対能力が高い証拠なので、いつでもそのパワーを発揮する可能性があります。
後方から凄い脚で大外を回ってくると、思わず大きな声で応援してしまうことでしょう。
そのくらい上がりが速い馬は、魅力的ですよね。
ペースや競馬場、コースなど様々な要素と合わせて上がり3ハロンタイムを確認し、自分なりのオリジナル予想を作ってみて下さいね。
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